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荻原 徳男
Journal of the Vacuum Society of Japan, 58(5), p.168 - 172, 2015/05
ギャップの十分狭い円板型スリットにおいて、気体分子を内側から外側に通過させるとき、円板に回転を与えることにより気体分子の放出特性が静止している場合と比較して、どのように変わるかを調べた。(1)両円板に回転を与えると、気体分子が回転円板から速度を付加される効果により、より円板の接線方向に放出されるようになる。速度比(回転により獲得しうる最大速度と分子速度の比)が3.8では、接線と0.4rad以内に放出される割合は75%を超える。規定平面となす角度に関する分布については、ピーク位置を変えずに、山高さが高く、半値幅が小さくなっていく。(2)片面のみを回転させると、回転円板を最終衝突面とするものが、放出される気体分子の大半を占めるようになる。この分子群に対する角度分布の形状は、規定平面および接線方向のどちらに対しても、両面回転時に得られたものと、ほぼ同一の回転依存性を有する。一方、規定平面近傍に等方的に放出される(主として静止円板由来)成分は、回転数に伴う増加率は大きくない。この特性を利用することにより、両面回転を用いるよりも規定平面への平行度が高いガスシートを生成することが可能となる。
神谷 潤一郎; 荻原 徳男; 引地 裕輔; 柳橋 亨; 金正 倫計
Journal of the Vacuum Society of Japan, 58(4), p.134 - 139, 2015/04
真空容器中の構造物を脱ガスする際は、真空容器の大気側に設置したヒーターで真空容器を加熱し、容器からの輻射や伝導で構造物を昇温する手法が一般的である。しかしこの手法では真空容器の熱伸びが発生するため、適用できる環境が制限される。特に加速器では、真空容器が隣のビームラインと締結されているため、この手法がとれない場合がある。真空容器を加熱することなく、内部構造物のみを昇温することができれば、そのような問題は解決できる。そのためには、ヒーターを真空容器内部へ導入し、熱源と真空容器の間を熱遮蔽し、熱流量を構造物へ向ければよい。われわれはこのヒーター導入式の手法を、J-PARC RCSビーム出射用キッカー電磁石の脱ガスに適用した。キッカー電磁石はフェライトをコアとして用いている。フェライトは多孔質であり気孔に水が吸着するため放出ガスが多い。キッカー電磁石をビームラインに設置した状態で(すなわちin-situで)昇温し、フェライトや他の構成部品からの放出ガスを低減することが目的である。フェライトを100C以上へ昇温すること、及び真空容器の温度上昇を30C以下へ抑えることを目標としてヒーター導入式の脱ガス手法の開発を行った。まず、原理実験を行い、本手法で真空内のキッカー電磁石を昇温できることを確認した。その後、実機への適応を見据え、ヒーターの選択、昇温試験を行ったので報告する。
吉井 賢資; 水牧 仁一朗*; 林 直顕*; 松村 大樹; 高野 幹夫*
no journal, ,
BaFeOは珍しい高酸化数Feを含み、六方晶ぺロブスカイト構造を持つものとして知られてきた。この系は高温高圧下で合成され、ネール温度が160K近傍の反強磁性体である。ところが最近、オゾンを用いた200Cでの低温酸化法により、BaFeOが正方晶となり、強磁性体であることが発見された。この物質のキュリー温度は110Kであり、これより下でFeモーメントが強磁性的に整列する。本研究では、この物質の詳細な磁気特性の解明と応用可能性も検討するため、磁気熱量効果を中心とした磁気的性質と、放射光を用いた電子状態測定などの結果を報告する。磁化測定より、強磁性転移温度近辺において大きな磁気熱量効果を示すと共に、磁場・温度でのヒステリシスが無いため、エネルギー利用効率の高い冷凍が可能な物質であることが分かった。また、放射光測定により、Feは、軌道角運動量を持たないFeになっており、これがヒステリシスの無い状態の起源であることが判明した。すなわち、Feを含む物質の探索は、新規磁気冷凍物質を開発する観点から興味深いアプローチであることが提案できる。
寺岡 有殿
no journal, ,
半導体デバイス製造プロセスでは、ナノメータースケールの微細加工が必要となりつつある。また、人工衛星や宇宙ステーションではその表面に相対的に高速の原子・分子が衝突するため、材料劣化と高速原子・分子の衝突との関係は興味深いところである。原子・分子線と固体表面との化学反応に関する研究は、近年では実用材料での極薄膜形成や劣化の模擬試験にその必要性が高まってきている。本講演では2000年から稼働し始めた原子力機構専用SPring-8ビームライン;BL23SUの表面化学実験ステーションで行われてきた分子線と固体表面との化学反応に関する実験を紹介し、表面反応ダイナミクス研究の将来を展望する。